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「祈っています」

シスター ルース 森

「祈っています」

  少し前のことですが、修道院で夕食づくりの当番がまわってきたとき、私は献立の1つに豆を煮てみたいと思いました。前日、今出川の乾物屋さんへ行き、10種類もの豆の中で、白地にエビ茶色の斑点のある「うずら豆」に心がひかれたのです。豆を煮るのは初めてだという私に、店の女主人は豆の煮方を書いたパンフレットで説明してくれました。そして、まだ不安な私に「おいしくできるようにお祈りしています。」と言いそえてくれたのが、心に残りました。

  貰ったパンフレットに従って、豆を洗い、たっぷりの水をいれ、蓋はしないで、差し水をしながら、長時間ゆでて、柔らかくなったら、砂糖、醤油、塩で味をつける。大成功でした!

  その日曜日の夕食をシスターたちと楽しみながら、私たちの修道会では、復活祭をいわう習慣の1つに、大きい卵とともに白地にエビ茶色の斑点のある小さいウズラの卵にも、赤、青、黄の色づけをすること、そして、「ウズラ豆」の名前は、その「ウズラの卵」から名づけられたのだと気づいたのです。エジプトから脱出して40年、荒野をさまよい、肉を食べたいと願うイスラエルの民に応えて、神さまが送って下さったのが鳥の「ウズラ」でした。神さまの優しさと店の女主人の「祈っています」という言葉のふしぎさを、これまで思い返してきたのです。

  今、テレビでは飢餓に苦しむガザの子ども達の痛ましい姿がたびたび放映されます。子ども達を救いたいと願っている、世界中の人々の心からの祈りが届きますように。