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松露(ショウロ)

シスター ルース 森

松露(ショウロ

  最近、珍しいキノコが私たちの食卓にものぼるようになりました。キノコに傘があるのは、傘の内側のひだにできる胞子がぬれるのを防ぎ、傘の形から上昇気流をつくって、胞子をできるだけ遠くへとばして繁殖するためだという、テレビの番組を興味ぶかく見たところです。

  そして、ふと、子供の時にまん丸のキノコを見たことを思いだしました。たしか、「松露」という美しい名前でした。第2次世界大戦が終って、小学生だった私は1,2学期を浜田市にすむ母方の祖父母の家ですごしたのです。ある日、海にちかい高台の松林にある小さな畑へ、祖母といっしょに行ったとき、地面に転がっている小さな丸いものを見つけた私に、それは「松露」というキノコだと祖母が教えてくれたのです。

  コンピューターから、「松露」は傘も足もない腹菌類の仲間で、海辺の黒松林の砂地に育ち、見つけるのが難しく、環境悪化のせいもあって、希少価値のおいしいキノコだとのこと。お菓子の「松露」や、トリュフチョコレートは、このキノコの形から名づけられたもの。京都や鳥取で、「松露」を育て、白砂青松の海岸を再生させようという取り組みもあると知りました。「松露」は人と自然の共生度と健康度をはかるバロメーターだと思います。豊かで美しい地球を私たちの子供たちに残せるよう、小さいことであっても環境保全に努めたいと強く思っています。