ナン・スタディ(修道女 研究)
「ナン・スタディ」(修道女 研究)
私たちノートルダム教育修道女会の、75歳以上の678名のアメリカ人シスターたちが、アルツハイマー病の解明のために協力しています。「ナン・スタディ」はその壮大な研究の名前です。
疫学のデヴィッド・スノードン博士が、私たちのある修道院を訪れたとき、大きな文書保管室があることに気づきました。シスターたちは修道院に入るときに、かならず自叙伝を書き、入会後は同じ生活をしながら、イエス様にならって社会の人々のためにそれぞれの奉仕をしますが、その記録がすべて保管されているのです。
協力するシスターたちは、その過去の記録を提供し、身体的、精神的評価をうけるだけでなく、死後は献脳もしてほしいという、スノードン博士の願いを勇敢にも受け入れました。これは人々に大きな驚きと感動をあたえ、タイム誌やライフ誌も「愛の贈物」としてとりあげました。
スノードン博士は、このシスターたちとの敬意と愛にあふれる交わりを、彼の著書「エイジング・ウイズ・グレイス(Aging with Grace)」にまとめました。「神様に見守られながら、すこやかに、美しく年齢を重ねてゆく老いの理想を表現した題名」と、訳者である藤井留美さんはいっています。ちなみに日本語版の題名は「100才の美しい脳」となっています。
人間の知識をふかめ、死後も、人々の幸せのために、アルツハイマー病の解明という現代の課題に協力をおしまない、私たちの高齢のシスターたちのなかに、創立者マザーテレジア・ゲルハルディンガーの愛と革新的な精神が生きていることを、こころから誇りに思うのです。