シャロームメモ第57号
シャロームメモ
2023年7月27日
第57号
[1.] 8月6日から15日は「日本カトリック平和旬間」です
教皇ヨハネパウロⅡ世が1981年の訪日時にヒロシマで訴えられた平和メッセージ『過去を振り返ることは将来に対する責任を負うことである』は、世界中に拡がりました。日本のカトリック教会もこの機会に、8月6日から15日の10日間を「日本カトリック平和旬間」と定め、1982年以来、各教区がこの期間を特に平和のために祈り、学び、行動する時としてきました。河原町教会の地下で行われた戦争展に立ち寄られた方も少なくないことでしょう。
カトリック京都司教区は宗教を超えて「平和のための京都の戦争展実行委員会」に加わり行動しています。ここ3年はコロナで戦争展が開催できませんでしたが、今年は久しぶりの開催です。今は河原町教会が工事中のため、会場は府立病院前の「長浜バイオ大学京都キャンパス」になりますが是非お立ち寄りください。
[2.] 「エコロジカルな経済を目指す」~人間と経済の本来の関係~
2023年6月26日(月)
同志社大学名誉教授 浜矩子氏
6月に開催した浜矩子氏の講演会「エコロジカルな経済を目指す」のまとめを以下に掲載します。講演会の記録は以下のアドレスからオンデマンドで9月25日まで視聴いただけます。
- 経済活動とは何か:それは人間の営み。経済活動に携わる生き物は人間だけ
◆経済学の生みの親アダム・スミスはその著書『国富論』で言っている。
➡経済活動は他者の喜びを喜び、他者の悲しみを悲しむ人々の営みである。この書が目指しているのは、≪国の富≫とその形成についてではなく、≪諸国民の富≫とその形成について論ずることである。
◆善きエコノミストたらんとしている浜矩子は言う
経済活動は人間を幸せに出来なければならない。なぜなら経済活動は人間による人間のための営みだから。
経済活動は人権を侵害してはならず、人権の礎でなければならない。なぜなら人権の侵害は人間にとって最大の不幸だから。
すなわち、経済活動の発展には≪競争力≫ではなく≪共感力≫が求められる。
- 経済活動はどんな形をしているのか
それは三角形。その三辺は、成長と競争と分配である。
経済活動が営まれる社会の状況に応じて、三角形のいずれの辺が強調されるべきかが決まる。
今日の日本にとって最も重要な辺は分配の辺である。
成長を最優先しなければならない社会は、これからすべてが始まる経済的に若い社会、或いは戦争や自然災害ですべてを失い、再出発しなければならない社会である。
- 経済合理性とは何か
◆経済合理性とは「経済的な観点から理にかなう」の意
➡二つの偽りの経済合理性にご用心
◆その一が成長至上主義
➡既に成長し切った経済に成長至上主義は不必要。ここで必要とされるのは分かち合い/分配の辺
➡分配無視の経済政策は人の生存権を脅かす。例えば今年度の日本の国内総生産(GDP)が500兆円、来年度のGDPも500兆円であれば、今年から来年にかけての日本のGDPはゼロ成長である。けれどもそれは収入がないわけでも減るわけでもない。今年同様に分配することができるということ。
◆その二が原発擁護論
➡原発の稼働も人の生存権を脅かす。人の生存権を脅かすことは最大の人権侵害
➡脱炭素化のために原発推進以外に道がないというが、原発廃棄物処理の問題を考えると疑問である
◆人を幸せにするための経済活動が人権を侵害することは許されない
◆人権の礎であることこそ、経済合理性の本質
- 今、経済活動は何を叫んでいるか
◆人間の営みである経済活動に不可欠なもの、それは愛と魂である。
◆経済活動に不可欠な愛はどんな愛? それはアガペー/すなわち無償で無差別の愛である。
◆アガぺーの愛と魂に満ちた経済活動は何ものをもいじめない:人をいじめない・格差と差別と貧困を許さない/大地をいじめない・環境破壊と地球をはみ出す経済を認めない
◆今日経済活動は、アガぺーの愛と魂を求めて叫んでいる。
◆アガぺーの愛と魂に満ちた経済活動の本質を語るラウダートシ行動計画の第3目標「他の配慮すべきこと がらから切り離されがちの利益最大化の原則は、経済の概念そのものに対する誤解を反映しています・・(ラウダートシ195)
5.今、経済活動が目指すべき場所はどこにあるのか
◆それは旧約聖書、イザヤ書11:6~10に述べられている。
狼は子羊と共に宿り、豹は子山羊と共に伏す。子牛は若獅子と共に育ち、小さい子供がそれらを導く。牛も熊も共に草をはみ、その子らは共に伏し、獅子も牛もひとしく干し草を食らう。乳飲み子は毒蛇の穴に戯れ、幼子は蝮の巣に手を入れる。わたしの聖なる山においては何ものも害を加えず、滅ぼすこともない。
◆そこは真の強弱共生社会である
そこにあるのが人間と経済の本来の関係であり、真にエコロジカルな経済の姿である。
[3.] 「シャローム平和のための祈り」のセンター7月の意向を共に祈りましょう。
「シャローム平和のための祈り」は世界中のSSNDが毎日、心を合わせて世界平和のために祈れるように、各地域のSSNDが日にちを決めて祈っています。日本の担当は毎月の23日です。
各祈りの後に全員で右を唱えてください。「主よ、私たちの祈りを聞き入れてください」
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- 「一つの中国」をうたい文句に台湾海峡に侵入する中国船、それを警戒して近くを運行するアメリカ船、不穏な空気が流れます。 世界中の国の独立が守られ、互いが侵攻することのない平和な世界となりますよう、主よ、特に為政者をお導きください。
- 昨年1月、170の島からなるトンガで、海底火山の大噴火、津波があり、国民の8割(8万5千人)が被災しました。 1年半後の現在、首都は、ほぼ被災前の姿に戻りましたが、津波で大被害を受けた離島の住民は、自分の島に戻ることが出来ず、移住先での仮住まいで苦しんでいます。 どうか被災した多くの人々に、心身の癒し、生活再建のための支援が届きますように。
③ アメリカ合衆国では、2022年に600件以上の銃乱射事件があり、多くの人々が亡くなりました。 2022年5月、テキサスの小学校では7歳から10歳の生徒19人、教師2人が殺害されています。 この国に銃規制が実現され、地球上に住むすべての人々が命の尊さを深く心に刻み、平和な世界を築いていけるようお導きください。
④ 梅雨前線の影響で全国的に大雨による被害が出ています。特に、福岡や大分を中心とする九州北部の被害が大きく、行方不明者も出ていると報じられています。捜索に関わる方々が安全で無事に救出作業を終えることができますように。 また、救助活動を待っている方々に緊急支援が行きわたりますように。
⑤ 地球温暖化により、北極の海氷面積と永久凍土が激減しています。石油採掘業者や漁業者も手つかずの天然資源を求めて押し寄せ、開発を進めています。これらは、北極圏の動植物や先住民イヌイットの生存に深刻な影響を及ぼしています。北極圏の大切な「いのち」を守るためにも私たちが、温暖化を食い止める努力に真剣に取り組むことができますように。
[4.] 7月18日は「ネルソン・マンデラ国際デイ」でした。
ネルソン・マンデラ(1918.7.18~2013.12.5)は政治家であり弁護士でもあった。
黒人解放運動の指導者でアパルトヘイト撤廃に尽力し、1993年にはノーベル平和賞をフレデリック.デクラークと共に受賞した。
1918年7月18日、東ケープ州のトランスカイの村の首長の息子として生まれた。1961年、「民族の槍」という軍事組織を作り、司令官に就任するとともに活発に活動を展開した。彼はその活動により逮捕され国家反逆罪終身刑となった。1990年釈放され1994年には大統領に就任、民族和解・協調を呼びかけ、アパルトヘイト体制下での白人、黒人との対立や格差の是正、黒人間の対立の解消、経済復興からの回復として復興開発計画などを実施した。ネルソン・マンデラは2013年、95歳で波乱万丈な生涯を閉じた。
彼の明言は今も格調高く私たちの心に深く刻まれています。いくつか紹介しましょう
★自分に正直でありなさい。
★成功するために大切なのはどこから始めるのかではなくどれだけ高く目標を定めるかである。