ネパール便り 2022年3月
ネパール便り 2022年3月
暫くご無沙汰しておりましたが、皆様にはご健勝にお過ごしでいらっしゃいますでしょうか。
日本、アメリカの友人達からは、雪の多い、極寒のお便りを耳にしておりましたが、こちらバンディプールでは漸く冬の寒さがゆるぎ、日中は桃の花、菜の花、小鳥のさえずりが春を携えてやって来ております。ここ都心から離れたバンディプールでは、コロナを用心しながらも、恐れずに通常生活を行うという努力がなされています。 幸いにも多くの人たちがワクチンを受け、又、新型コロナに罹っても軽症で早く治るという経験が増えて、漸く学校でも通常授業が行われるようになりました。 とはいえ、学年度初めに3か月間コロナのために学校閉鎖が行われ、その後はオンライン教室のみ、そして2学期になり漸く通常授業が行われ、3学期に入った現在、なんとか安定した授業が行われているという状況です。 政府の指令で、今学年度末は、例年より一か月延長して、5月中旬になることに決められています。
狭き門は広められ・・・・:
ところで、コロナによる影響が思わぬところに顕れました。と言いますのは、前学年度の期末テスト直前に政府が学校閉鎖を指令し、学年度末テストをしないままに成績を出すように指令しました。これによって誰も落第することなく、全員が進級することになりました。これまでネパールでは落第制度があり、国家テストに合格しない青年たちが将来を悲観して自殺するケースが増えていましたので、その対策として合格レベルを下げ、特に今年度は学年末テストなしの合格となりました。これにより、本校では理数科系に向かない生徒も合格点を得て、転出することなく全員進級しました。それに加えて、オンライン授業を行われていない近隣の学校から転入してくる生徒が増え、狭き門は広められる結果になりました。 その結果、従来から一クラスに狭められていた高学年の教室、机いすが足りなくなり、一クラス58人という状況で、物置部屋の壁をぶち抜いて何とか急場を凌ぎました。新年度からは、何としても4教室を新設しなければなりません。未だに資金調達の目途が立たないままに、取り敢えず新学期までに間に合わせるべく2教室だけを大急ぎで建設を進めています。校舎建築費1000万円と、内装、白板、机、いす160脚で、約500万円掛ります。皆様からの温かいご援助を加えて戴ければ幸いです。よろしくお願い申し上げます。
こんな所に校舎を?! 素晴らしい人々の働きで
ブルトーザー、 シャベルカー、コンクリートミキサーも顔負けです。
巣立って行った奨学生達は今……:
* 数か月前にリッタブラット君から、感謝と別れの電話をもらいました。彼は、セトグラス保育園から12年生まで本校で育った優秀な生徒で、全額奨学金を受けていました。コロナ問題の最中でしたが、米国で奨学金を得ることができたと勇んで出かけて行きました。
* 両親に見捨てられたブワン君は、祖父母に育てられ、奨学金で12年生まで本校で学び続けましたが、卒業後自立するために目下、将来の道(軍隊に入るか、ND校で教師になるか)と模索中です。
* サビナさんは、ND校大好きで、セトグラス保育園から12年生まで理数系を学ぶ予定でしたが、科学の点数が足りずに12年生から他校へ転校し、現在コンピューターと教育学を学んでいます。小さい子供大好きで、将来は先生になりたく、日本で教育学を学ぶ事を希望しています。
* アスミタさんは、父親のいない奨学生で、日本からのお客様に歓迎の挨拶とネパールダンスを披露した明るい女生徒です。11―12年生では麓の町で教育学とコンピューターを習得し、現在結果待ちです。日本で奨学金を受け、学び乍ら収入を得、家族の借金を返済する事を夢見ています。
* 一時帰国しているラージャン君は、貧しい家庭に育ち,奨学金を得て本校で学んでいましたが、やる気と積極性に富んだ頑張り屋で、現在は旧ソ連領ジョージア国で薬学を学んでいます。ネットで奨学金援助者を求め、アメリカ人から全額支給の援助を得ました。先日出会った際、良い基礎教育をND校で得たお陰で今日がありますと、感謝を伝えていました。
皆々様のご援助で多くの子供たちが力強く前進しております。
神様が豊かな祝福でお報い下さいますようにお祈り申し上げます。
2022年3月4日 感謝のうちに バンディプール シスターズ