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春 風

シスター ルース 森

 1月も終わりに近づいたころ、ずっと以前に私がクラス担任をした一人の卒業生から、寒中見舞いの葉書をいただきました。まるで春風を感じたように心が明るくなり、戸外へ春を探しに出かけてみたくなりました。

  私の住む修道院を南へ行と、松ヶ崎浄水場の方から水のゆっくりと流れる疏水があり、両側の道を、幼子を見守って歩く父親や何組かの老若男女のカップルが静かに話しながら歩いています。前夜の雪もすっかり溶けた水辺の土手には、ここかしこに水仙の茂みがあって、もう花を咲かせ始めています。ふと見ると,胸が赤褐色で翼に白斑のある尉鶲(ジョウビタキ)が一羽、土手の低木に止まっては進み、私の道案内をしてくれているようです。土手の上の桜並木には黄緑色の目白の群れが美しく囀りながら飛び交って、花が咲くのを待ち焦がれているようです。桜の枝にも、まだ堅い花芽にも、どこか春の息吹が感じられたのです。

  修道院へ帰る道すがら、最近、友人の牧師から贈られた小さな詩を味わっていました。「You can feel the presence of God/ through beauty of nature/ everywhere./ It is the love of God/ dwelling within you./ (神の存在はどんなところでも/自然の美を通して感じられます。/それが神の愛/いつもあなたの中に。)