若い母親の落ち着き
先週の土曜日、京都駅から修道院に帰るバスの中で一つの出来事に出くわしました。私だったらその時どう対応するだろうかと考えさせられる場面だったのです。
京都駅から9人の女性客がこのバスに乗車しました。烏丸七条から幼い女の子を抱いた若いお母さんと5歳ぐらいの女の子が乗り込む様子を目にしました。
母娘が座席についた途端、大きい方の女の子が突然、火が付いたように、思いっきり泣き叫ぶのです。この子に何かあったのではと心配でした。若い母親は静かに彼女の泣く様子を見守っています。落ち着いて、泣きじゃくる彼女と向き合っているのでした。母の膝に抱かれた幼い妹は一緒になって泣くこともなく、可愛い瞳をこちらに向けています。お母さんの顔を直接見ることはできませんでしたが、きっと幼子とよく似ているのでしょう。泣くこと1分ほどの間、私には本当に長い時間でした。若い母は穏やかな視線を彼女に向けています。きっとこのような状態を幾度となく経験し、そのような場合の対処法を心得ているのかも知れません。
その子に向き合う母親と乗客の様子を見守りながら、その若いお母さん、それを見守る乗客双方の姿勢に感動しました。その場を逃げるでもなく慌てる様子もない、ごく自然体の母親、そしてあたたかな女性客に安堵しました。泣き叫ぶ声を聞きながら、私だったら「このような場合、どう対処するか」などと彼女と同じ立場に立って考えました。さまざまな出来事が起こった時、私は冷静に対処できるかと自分に問いかける貴重な「場」に居合わせました。
女の子と母親、そして幼子は静かに泉町の駅で下車し、ほっとしたものです。