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ネジ花

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ネジ花

  各地に大きな被害をもたらした降り続く雨の日々がやっと終って、美しく晴れた朝、久しぶりに修道院の庭にでた私は、その思いがけない光景におどろかされました。陽のあたる湿った草地に育つというラン科のネジ花が庭いちめんにピンクの小花を咲かせていたのです。

  この花は万葉の昔から人々に愛され、百人一首にとられている「陸奥のしのぶもじずり誰ゆえに乱れそめにしわれならなくに」の「もじずり」はこの花の別名です。ここ1,2年、小鳥に運ばれてきたのか、この庭にも2,3株のネジ花が小さく咲いているのに気がついていたのですが、今年の長雨のおかげで人にふまれることもなく、また、じゅうぶんな雨の恵みをうけて、5,60株もの葉株がそだって、その中心から40センチもの高さの花茎を何本もまっすぐにたてて、茎の下の方から上へとピンク色のかわいい小花をラセン状に咲かせています。倒れないように、ラセン状に咲いてバランスをとっているのだとか。

  元気にそだった花茎とかわいいピンクの小花がすこしアンバランスにも感じられ、ほほえみをさそいます。ラセンに右まきと左まきがあるのも、自由に感じられ、まるで天にむかって楽しく賛美の舞を舞っているかのようです。眺めている私にもネジ花といっしょに楽しく踊るエネルギーが湧いてくるように感じたのです。