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「堂々と負ける」

シスター ルース 森

「堂々と負ける」
  九州場所も2、3日後に千秋楽をむかえますが、この場所中に、モンゴルの力士たちの間にいさかいがあったと聞いて、残念におもいました。相撲というと私は、いつだったか、ある力士から聞いた1つの言葉をおもいだします。「『負けた時は堂々と負けなさい。』と、自分の師匠がおしえてくれた。」という言葉です。
  日常の生活のなかでも、自分の負けや弱さをすなおに認めることはむつかしく、つい弁解をしたり、責任を他人に転嫁したり、はては落ちこみ、投げやりな気持ちになったりします。この師匠は、「堂々と負ける」という言葉でこの弟子に、自分の現在の力を正直にみとめ、自分を信じて、方策を立て、向上をめざしていく真摯な姿勢をおしえたのでしょう。
  思えば、私たちは、成功からよりも失敗から、おおくを学んでいるのではないでしょうか。まず自分の弱さや失敗を正直にみとめなければ、堂々と前に進むことはできません。そして、弱さや限界のために、失敗もさけることができない人間として、今、この場を真摯に生きるほかありません。
  つい最近、ある親方がラジオの対談で、「勝った力士は謙虚に、負けた力士は潔く、礼をして感謝し、静かに去っていくのが、日本の相撲の精神だ」と話すのをききました。はじめて知ったこの相撲の精神を、私は人生にも通じるほんとうにすばらしい精神だと思ったのです。