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「ん?」(気づき)

シスター ルース 森

「ん?」(気づき)
  11月にはめずらしい小春日和のある朝、私の乗っている北8のバスは修学院道のバス停ちかくで信号待ちをしていました。反対側の道に、若い父親らしい人と三輪車の幼児が見えました。1歳半ぐらいのその男の子は、地面を歩くようにして三輪車を進め、小さな坂になっている頂上らしい地点まで来るとぴたりと車をとめ、三輪車がゆっくりと後ずさりして止まると、また、同じようにして上るのです。
  19世紀のドイツでは、啓蒙思想とフランス革命の混乱で、少女たちが基礎教育も受けられない状況のなかで、レーゲンスブルグ大聖堂の主任司祭ウイットマン師が、小学校を卒業しようとしている、わずか12歳の少女3人を、小学生を教える先生にすることを思いつき、驚くべき成果を上げたのです。その中の1人が、やがて私たちノートルダム教育修道女会を創立する、福者テレジア・ゲルハルディンガーで、革新的な教育がいまも高い評価をうけ、現在、世界34か国で、3,000人ものシスターたちが、さまざまな活動や奉仕を続けています。
  200年たった今、ウイットマン師の発想がどのような壮大な発展を遂げたかを見ることができるのですが、この小さな男の子の発見も、やがて大きく育っていくに違いないと、心をおどらせた朝でした。