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十字架

シスターメリー・パトリシア久野

彼女は、小学4年生頃縄にいたそうです。沖縄戦の激いし日々、のとても暑い日、4歳下の妹さんと一緒に、川で水浴びをしていたそうです。水浴びと言っても浅い川で腹ばいになって手足をばたばたさせていただけのことです。誰かに足をくすぐられたので見ると大きなアメリカ兵がいたそうです。もちろんその時はアメリカ兵とは分かりません。見たこともないような人がいたと言うだけのことです。その後も二人は時々このアメリカ兵と会い、なんとなく一緒に遊んでいたそうです。ところがある日そこに突然、武器を構えたお父さんが現れたそうです。お父さんは、武器を突きつけ、アメリカ兵は両手を上げじっと立っている。その両者の間で、どうなることかとただ気をもんでいたそうです。
そのうち、兵士が、これを見よと言うように襟元のちいさなものを示したそうです。お父さんは、それを見て武器を下ろし、アメリカ兵は無事そこを去って行ったそうです。彼女は、不思議なものとして兵士の襟元で光っていたものを記憶していたそうです。
後年それと同じものが屋根にある建物を見つけ、キリストに出会い、やがて修道生活にみちびかれていきました。兵士の襟元で光っていたものは十字架のバッジだったのです。

和解と愛、赦しのンボルである十字架が、実際にその力を発揮した具体的な出来事としてこの話を聞きました。神の力は生きていて、生活の中に現れます。感謝します。
宗教が争いの元でなく、赦しと和解の力になりますように。