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シスター ルース 森


  秋も深まって、葉のおちた木々と高くすんだ空を背景にして、木守りの実や木に採りのこされた柿の実が、あざやかに目にうつるようになりました。
  以前、私が高野教会でしていた入門講座に、西川さんというお年寄りの方が参加してくださっていました。ある日、彼は2本の甘柿の枝をもってきて、クラスの後、裏庭の澁柿の木に接ぎ木をするのだといいます。裏庭で直径5センチぐらいにそだった若い柿の木の幹を、彼はたかさ70センチぐらいのところで切りとり、根のある台木の形成層に、縦の切りこみをいれ、持ってきた甘柿の枝を鋭くななめにそいで、両方の形成層を合わせ、しっかりとビニールの紐でしばって、水が入らないようにしました。「うまくいくように祈りをして下さい」と、いわれ、私が十字架のしるしをして、接ぎ木をした柿の木を祝福し、皆で接ぎ木の成功を祈ったのです。接ぎ木した枝からは、やがて新芽が伸びてゆき、私たちを喜ばせてくれました。
  何年たったでしょうか、ある日、教会の事務室の窓から、ふと裏庭を見た私の目に、赤く熟した柿の実が見えました。私は急いで裏庭に行きました。柿の木は大きく枝を広げて、みごとな甘い実をたくさんつけていたのです。
  今年、裏庭が整理され、柿の木の枝もすっきりと刈り込こまれて、実は1つもありません。けれども、十字架のしるしで祝福され、地面にしっかり根をはり、刈り込んでもらった、この柿の木は、また、みごとな実をつけるに違いないと、私にとって希望のしるしとなっています。