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笹舟

シスター ルース 森

笹舟
  5月なかば、琵琶湖に面した私たちの修道院で、若い女性たちのための2日間の黙想会をしました。参加する人たちは、神父様の講話やミサ、晩のいのり、神父様との面接などをふくむ個人的で静かないのりの時間をすごします。
   私たちシスターと話したい人たちのために、私はいつも、テーブルに、対話のきっかけとなるような小さなしつらえをします。今回も庭をあるいて、タンポポとムラサキカタバミの花、それに、楠の木らしい切り株から生えているエンジ色の新芽とつぶつぶの白い花をみつけました。あとは、水を入れる小さな入れものが必要です。ふと見ると、笹の株がほそながい葉を何枚もつけています。子供の時に作った笹舟を思い出しました。1枚を手にとって、思い出しながら折っていくと、5,60年も忘れていた笹舟がゆっくりと姿をあらわして、私が摘んできた草花たちのために、たちまち必要な水滴をなんてきか載せてくれました。
  グリーンの敷物を敷いてひかるテーブルの聖書のそばに、小さな笹舟をおきました。神父様の講話はちょうど、イエスさまがペトロを使徒として招く湖上の場面(ルカ5・1-11)です。「私は罪深い者です。」というペトロの深い自覚に対して、「恐れることはない。」と言われるイエスさまを信じて、ペトロはすべてを捨てて、イエスさまに従います。小さな笹舟は、弱さを自覚しながらも、イエスさまの豊かな恵みをうけ、信じて歩み続ける者たちの姿のように思われるのです。