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チューリップ

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チューリップ
  早春のある朝、洛北の植物園を歩きました。人影はまばらですが、正門ちかくの花壇ではたくさんのチューリップがいっせいに5センチほどの葉をのばしています。やがて色とりどりの花を楽しむ人々や、ならんで写生にふける小学生たちの群れでにぎわうことでしょう。
  チューリップというと、何十年も前にカナダの首都、オタワの公園で見たチューリップのおおきな花壇を忘れることをできません。「第2次世界大戦中、ナチスから逃れて、カナダに亡命していたオランダの王女が、出産するにあたって、生まれる子供がオランダ国内で生れるのでなければ王位継承権を失うということを知ったカナダ政府は、病院の王女の産室を『オランダの国である』と宣言した。王女はカナダの人々へ心から感謝して、終生、チューリップの球根をカナダの人々に送ることを決めた。今、咲いているのはそのチュウリップなのだ」と、一緒にいたカナダ人の友人が話してくれました。
  「その王女は王女ジュリアナ、1943年に生まれたその子供は王女マルガリート、王女ジュリアナは1945年に10万個、1946年に2万5百個、そして、毎年1万個のチューリップの球根をカナダに送ってくれている」と、私の問いに、同じ友人が最近メールで教えてくれました。最近の不穏な国際情勢のなかで、心あたたまる思いがします。「人の心からわきでる善意と無私の心に天国をかいま見る」と言ったある司祭の言葉が浮かんできました。