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ティ・ビスケット

シスター ルース 森

ティ・ビスケット
  つい最近、私の料理の本の間から1枚の英語のレスピーが出てきました。「シスタールースへ」と私の修道名も書かれています。20年も前、カナダの古い町アンプライヤーでの刷新プログラムに参加していたあいだ、時折、仲間たちといっしょに町にあるこじんまりした喫茶店へ行きました。プログラムも終わりに近くなって、お別れのお茶をしに行ったとき、紅茶と一緒にいただいたクッキーがとてもおいしくて、「日本に帰るのだけれど、このクッキーのレスピーをもらえないか」と若い女主人に頼んだところ、快く承知してくれ、書いてもらった紙に、私の名前までそえてあったので驚いたのでした。日本に帰って、1度、このレスピーでクッキーを焼いてみたのですが、カナダで食べた味ではないような気がしたのでした。
  簡単なレスピーなのですが、作り方がとてもていねいに書かれていて、書いた人の心遣いが伝わってくるようです。私はもう1度、このレスピーでていねいにクッキーを焼いてみることにしました。お砂糖は入れず、ショートニングを使い、クッキーではなくビスケットとかかれていました。アメリカやカナダのビスケットは日本のように甘くないことも辞書から分かりました。ビスケットは大成功で、おいしい紅茶と手造りのリンゴジャムをそえて、シスターたちといっしょに楽しみました。20年もたって、カナダの古い町の喫茶店の女主人の暖かな心を、心ゆくまで味わったのでした。