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シスター ルース 森


 10月の秋晴れのある朝、私はノートルダム小学校の山の家にいました。6年生が卒業前に行う修養会を手伝うためでした。児童たちが到着するのを待って、山辺を歩いていて、「We love 森」と書いてある立て札を見つけて驚きました。私の苗字が「森」だからです。すぐ、この山の家で活動する児童たちの心構えだと分かりましたが、私はなにか自分が児童たち、先生たち、この森や自然、神様に受け入れられ、1つになっているように感じ、とても幸せに思ったのです。
 最近、テレビで「南方 熊楠シンポジューム」を見ました。彼は100年も前に日本で始めてエコロジーという言葉を使い、また、社寺の合祀に反対し、実地調査をして、政府の方針を変えさせ、多くの鎮守の森を消滅から救った人です。パネラーの1人に「生命誌」の中村桂子さんがいて、「熊楠マンダラ」を紹介し、「森」はありとあらゆるものが存在する「混沌」だと言った言葉が心に残りました。
旧約聖書のはじめには、「地は混沌であった」と書かれています。世界も社会も私も混沌でいいのだと思い、心が軽くなりました。その「混沌」の中へイエスさまが人となって来られました。私たちができること、しなければならないことは、里山に手を入れるようなことだけ。究極の救いはイエスさまがなさってくださるのだと希望を感じました。パネラーの方々が言ったように「人を拒絶しないやさしい混沌」でありたいと思いました。クリスマスがきて、熊楠が好んだオオチの木々がすっかり葉を落とし、黄色の実を付けた枝を冬空に伸ばして、彼の思いを私たちに告げてくれているようです。