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「東日本大震災」を思う。  その一

シスターメリー・パトリシア久野

3月11日の「東日本大震災」以後何も書けなくなっていましたが、ブログを楽しみにしているとおっしゃってくださる方もありましたので、考えもまとまらぬまま、ボツボツ書いてみることにしました。

大震災から2週間ほど経った頃、アメリカでの会議に行きました。
そこでは皆が地震・津波・原発のことを心配し祈ってくれていました。
中には個人的な義捐金を預かってきている人もいました。
食卓でもこの災害のことはよく話題に上りましたが、あるとき一人の人がぽつんと言いました。
「アナウンサーも政治家も原発は止めるようにと一言も言わないね」と。
それに対してそのテーブルの人は誰も何も言いませんでした。
「止めよう」と言い切るには問題が複雑すぎるのでしょうか。
それで生活している人々‥‥今の生活を変えることの難しさなどなど‥‥。

帰国の日、朝3時ごろ飛行場に向かいました。途中、地上の一箇所から5,6本の光線が真っ暗な空に向かってぐるぐる旋回しているのを見ました。
テロかなにかを警戒しているサーチライトかと思って聞きましたら、それはカジノからでている光線でカジノの場所を示す宣伝と言うことでした。一晩中あのように人々を招いているのです。光に吸い寄せられるようにそこに向かう人々の姿、その不夜城の中で行われている事を思いました。   
日本では計画停電が実施されていました。

地震・津波は地殻のひずみ、自然界のひずみが均衡をとろうとして起した大きな災害です。
地上では人間が作ったひずみ、飽食と餓死が同時に存する‥‥極端な富の偏りがあります。     この富を築くひずみの上に原発もあります。
原発の事故はそのひずみの軋みなのでしょう。このひずみの原因‥‥他者をないがしろにしても自分の富と快適さを求めるところから治していくことを問われているのでしょう。
人間は自分の手に負えないモンスターを作り出すこともあります。
でも、人間が作ったひずみですからそれを治し、癒す力も人間には有ると信じたいのです。

イエスは天を仰いで「エッファタ(開け)」と言われた。するとただちに耳は開け、舌のもつれは解け、はっきり口がきけるようになった。  マルコ福音書

本当に大切なことに開かれていきますように、とキリストの助けを願います。