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「貰い過ぎています」

シスター ルース 森

「貰い過ぎています」
 7月の初め、私は名古屋の中部空港の出発ロビーにいました。搭乗までにかなりの時間があるので、売店でお茶を買うことにしました。カウンターに行くと、お茶とお菓子の袋を持った女の子と、5ドル紙幣を手に持ったフリッピン人らしい母親が途方にくれた様子で立ち尽くしています。ここでは日本紙幣しか使えないのだそうです。「私のものと一緒に買いましょう。」といって、私は支払いを済ませました。母親はお礼を言って、辞退する私の手に5ドル紙幣を押し付けて行ってしまいました。
 ゲートに戻ると、1つのグループの中にその親子もいて、自分たちの買い物の話をしている様子です。私はふと、先日、両替をしたお金の中に1ドル紙幣もあったことを思い出し、「貰い過ぎています。」と言って、母親に1ドル紙幣を3枚渡しました。すぐに母親の顔が笑顔になり、グループの雰囲気がさわやかになるのを感じました。私のすぐ側にいた女性が「私は祖母です。ありがとうございました。」と言いました。デトロイトに到着するまでに、女の子が何度も私の座席の側をゆっくり通って、笑顔を見せてくれました。
 日常の生活の中で、「貰い過ぎています」と言って、お互いに返し合えたら、社会も世界ももっと平和になるのかも知れないと思いました。