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本物の十字架

シスター ルース 森

本物の十字架
 唐崎にあるノートルダム黙想の家の聖堂の壁にも、イエス様の十字架の道を描いた十四枚の絵が掛けられています。第一留は茨の冠、第二留から第十三留まではいろいろな形の白い十字架、最後の第十四留には麦の穂が描かれていて、私はつい最近まで、とても単純なシンボルのような絵だと思っていました。
 先日、この絵をたどりながら祈っていたとき、日の差す加減で見えるのですが、それぞれの画面に十字架を背負って歩まれるイエス様の姿がエッチングで美しく描かれていることに気づきました。
 私たちの会では初誓願のとき、頭に茨の冠を戴き、また、銀祝の時にはセント・ルイスで行われる祝いで、美しい十字架を頂く習慣がありましたが、手違いがあったとかで、私たちのグループはどちらも貰えなかったのです。この出来事は長い間、私の心に、何か痛みと引け目のようなものを感じさせていました。
 壁の絵を眺めていて、あの時、私は形のない本物の十字架を貰ったのだと気づきました。本物の十字架は他の人の目には見えず、自分一人のもので、イエス様だけが共に荷ってくださるものです。「私について来たい者は、自分を捨て、自分の十字架を背負って、私に従いなさい(マタイ16・24)。」というイエスさまの言葉が心に響きました。