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イスラエル巡礼の旅より     その三

シスターメリー・パトリシア久野


エルサレムで泊まった部屋は、7階でした。

外出するため、4基あるエレベーターの一つに乗りました。
6階で止まりましたが、誰も乗ってきませんでした。次の5階でも止まりましたが、ここでも誰も乗りませんでした。このようにして、各階で、止まり、そのつどエレベーターは開いたり閉じたりしましが、誰も乗ってきませんでした。
1階に着くとそのエレベーターは、当然のように2階に向かっていきました。

どうしてこのようなことになっているのか不思議で、他の3基と見比べているうちに気づきました。乗ったエレベーターには Sabath-Elevator(安息日のエレベーター)と標識が付いていたのです。

ユダヤ教の律法では 安息日に労働することを禁じています。
労働とは荷物を運ぶことも入り「荷物とは、乾無花果一個と同じ重さの食物、一口呑みこめるだけの牛乳、目に貼る軟薬を濡らすだけの水、アルファベット2文字を書くだけの墨‥‥等々」、安息日にランプを他の場所に移動させても良いか、入れ歯をしたまま外出しても良いか、安息日に子供を抱き上げても良いか‥‥等々を真面目に論じたようです。

この論法を現代に敷衍すると、車を運転することも エレベーターを動かすことも「禁止された安息日の労働」になるそうです。あのエレベーターは、律法を厳格に遵守したい人々のため、一日中あのように動いているわけです。

紆余曲折を経ながらも イスラエルの信仰を守り抜いた旧約時代の人々の姿を垣間見たような思いがしました。同時に、守りの強さが、閉ざされたものになっていく時の危うさも感じた出来事でした。

(写真は、『バル ミツバ』‥‥イスラエル男子成人式のようす)