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飾り旗

シスターアン・ミリアム木村


飾り旗

 美術科担当の先生は毎年、体育祭(スポーツフェスティバル)に向けて、全校児童に飾り旗を制作させる。デザイン学習として、学年のテーマもきめられている。
 1年  かたちをくみあわせて
 2年  おって きって ひらいて 切り紙もよう
 3年  回転するもよう
 4年  シルエット
 5年  文字を使って
 6年  マス目模様の発展

 ユホと呼ばれる特殊な紙に油性のカラーペンシルで描く。思い思いの模様と、はっとさせられるような配色を見せて出来上がった飾り旗は、先ず掲示板で披露され、体育祭には空に浮かび、風になびいて、懸命に競技する児童を讃える。

 今年はさまざまな事情が重なって、このスポーツフェスティバルは何度も延期をやむなくされたが、10月21日、澄みきった青空高く、飾り旗は張り渡された。それは、いつにもまして美しかった。一枚、一枚がはっきりと見えるようにも思われ、全体が一つになって、また、美しかった。学院祭が近づいているので、今年は旗をそのままにしておくことになって、私はなぜか、ほっとした。

 体育祭のあと、グランドの片付けもほぼ終わって、引き上げようとした時、教室から出てくる児童を待っていた一つの家族がテントのそばに集まって旗を見上げているそばを通り過ぎた。一枚の旗を指さしながら、「あれが、きっと、○ちゃんのだよ」と話しているのが聞こえた。私は、また、またうれしくなった。

 飾り旗の制作を指導してくださった先生の言葉が忘れられない。

「シスター、旗があんなに美しいのは、900枚以上の旗を掲げるからなのですよ。私の卒業した小学校は200人でした。200枚の旗を張りめぐらすのと、900枚とは、大変な違いです」

仲間が多いほど一人の輝きも深い。

10月23日 シスターアンミリアム木村