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秘蔵のお湯呑み

シスタージョアンナ徐

秘蔵のお湯呑み

土曜日、日曜日の午後は時たま、リラックスしてティタイムを楽しむことがあります。

 瞬間湯沸かしポットからお湯を注ぎ、友人から送られてきた自家栽培のハーブをひとつかみ入れてハーブ茶を作るのです。ハーブの香りがほんのり修室に広がり、茶を味わいながら自分だけの寛ぎの「時」をもちます。このような「時」は自分自身と向き合い、この一週間あるいは一か月を振り返ります。また、ハーブ茶を送ってくれた友人を思い、感謝しながら過ごします。貴重なこのひと時、秘蔵のお湯呑みを取り出し、陶磁器の由来やこれにまつわる歴史に思いを馳せるのを楽しみにしてきました。

  12年前のこと、ビビンバで有名な韓国全州市の韓屋村で、私にしては少し高価でしたが、気に入った湯のみ茶碗を見つけました。これを手にするごとに、この茶碗を造った陶器師と無言の対話をするのです。先ず、この湯のみ茶碗に出会えた喜び、そして、どのような思いでこれを作り、これを手にする人々との出会いを考えたことがあったか、また製作過程はどうだったか等々、たくさんの質問と感謝を伝えます。特にこの茶椀の形と色合いが好きで、そこに陶器師のぬくもり、思いや考えが深く息づいているのを感じるようになってきました。両手でこの器をつつみ、時間をかけてその形や色、陶器師の思いに耳を傾けるのです。私の秘蔵の湯呑み茶碗とはこうして次第に絆を深めてきました。

 きっと良質の粘土を探し回り、その粘土を練って気に入るまでろくろで形を整えながら思い描いた器を作ったことでしょう。最後にこの粘土の器は窯に入れられ高温で焼かれるのです。この製作過程を経てはじめて粘土の器は陶器に変えられるのです。本当に長い道のりだったに違いありません。

 私の手元にある秘蔵のお湯呑み!この茶碗の製作過程を思いめぐらす時、まるで人の一生のようで愛おしくさえ思われます。次第に日も暮れてきました。また逢う日まで……