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咀嚼(ソシャク)

シスター ルース 森

咀嚼(ソシャク)

  コロナウィルスの感染がはじまってから、私たちの修道院でも、電話の受話器やドアのノブの消毒、ていねいな手洗い、マスクの使用など、全員で感染防止に努めています。最近、家庭内での感染をふせぐには、食事中の会話を避ける方がよいと聞いて、しぜんに黙って食事をするようになっているのですが、私は食事をしながら、ゆっくりと落ち着いて食べ物のおいしさを味わっている自分に気がついたのです。そして、ふと「咀嚼」(ソシャク)という言葉がうかんできました。子供の時に、「もっとよく咀嚼しなさい」と、父からいわれていた言葉です。ひょうきんなところもあった父が、子供たちにいかめしい言葉で注意している姿を思いだして思わずほほ笑みました。けれども、このブログを書きながら、父が私に望んでいたのは「ゆっくりと落ち着いて食べ物のおいしさを味わう」ことだったのだと、今やっと気がつきました。

  もう1つ、自分が最近やっていることが「咀嚼」なのだと気づいたことがあります。60年も前の1962年に、カトリック教会では第2バチカン公会議が開かれ、すべての修道会が自分たちの会憲を現代にあわせて書き直したのです。日本のノートルダム教育修道女会会員の私たちも、日本語に訳された、その会憲とキリストの福音を修道生活の指針としています。私はこの会憲を日本語と英語の両方の言語で、ゆっくり味わいながら読むことにしているのです。コロナウィルスの関係で外出を控えている今、こうして修道女としての使命をより深く理解し、明日へと少しでも自分をととのえて行けることを嬉しくおもっています。